またもアルファベットの略語が登場しました。IPEF(アイぺフと発音)です。時事問題が出題されることが多くなった中学入試で、来年あたり登場しそうですよ。そこで、これくらいは知っておいた方がいいですね。
これは、訪日したアメリカのバイデン大統領が発足を宣言したものです。日本語にすると「インド太平洋経済枠組み(フレームワーク)」という意味になります。バイデン大統領は、「インド太平洋地域の国々の力強く公平な経済成長に向けて、我々が21世紀の経済ルールを作っていく」と高らかに謳い上げました。
でも、経済協力の仕組みなら、TPPやらRCEPやらがあるのに、なぜまた屋上屋を架すようなものを作ろうというのでしょうか。そこにはTPPから離脱させられてしまったことへのリベンジと、対中国包囲網を形成しようという意気込みがあります。
そもそも経済協力とは、貿易で高い関税をかけるのを止め、貿易を活発にすることで互いに利益を得ようというものです。国際的な機関としてはWTO(世界貿易機関)がありますが、164もの国と地域が加盟した結果、参加国が多すぎて互いの利益が交錯し、新しい貿易協定ができません。
そこで、WTOとは別に利害の一致する国同士で貿易に関する協定を結ぼうという動きが活発になりました。それがFTA(自由貿易協定)とEPA(経済連携協定)です。ありゃ、また略語の登場です。
FTAは、特定の国や地域の間で関税をなくしたり減らしたりする約束です。EPAは、関税に加え、著作権など知的財産の保護や投資のルールも決めようというものです。
日本は2002年に初めてシンガポールとの間でEPAを結び、その後、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシアなどと次々にEPAを結びました。この結果、たとえばチリからワインを安く輸入できるなど消費者にとってメリットが増えてきました。
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source : 週刊文春 2022年6月9日号