高校生の頃、仲の良かったクラスメイト同士が急に冷戦状態に入り、片方が「もうあの子と友達やめるから!」と宣言してきたことがあった。「へえ、じゃあ何になるの。知り合い?」と鼻で笑うと怒り狂ってバシバシ肩を殴られたものだ。数年後、彼女たちは互いの結婚式でスピーチを読んでそれぞれにボタボタ涙を流していた。一方でクラスメイトからあの子の言葉を通訳できるのはあんただけだよね、と言われるほどにツーカーだったあの子が今どのように過ごしているのか、私は知らない。もう会うこともないだろう。でも、幸せでいて欲しいなと思う、この気持ちは現行の友達に向けるそれとなんら変わりない。あの2人も、そして私たちも、みんな同じ教室の中、友達だったはずなのに。ずっとずっと隣にいるんだと、疑ったことすらなかったのに。
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source : 週刊文春 2022年11月24日号