「母国」という、やや古めかしい言葉がある。「スーダンから日本人脱出」のニュースを見て、久しぶりにこの言葉を思い出した。

 強くお金がある母国があることの幸せ。(議論はあるとしても)立派な飛行機が降り立ち、全力をあげて自国民を助けてくれる。

 フランスの救援機には、ペット用の大きなキャリーも積み込まれた。可愛がっているものならば、ワンコだって助けてくれるのだ。戦火の中を逃げまどうスーダンの人たちを尻目に。国家の体をなさない、混乱の国に生まれた人たちは本当に気の毒だ。ニュースを見るたびに心が痛む。どうすることも出来ないこともつらい。ウクライナもそうだが、生まれてきた国によって、幸せは左右される。

 そこへいくと日本はまだまだいい国だと思いませんか。ちゃんと働けば餓死することもないし、言論の自由だってある。このあいだ日本でSNSから発信していた若者が、中国に帰ったとたん逮捕されたそうだ。わが国ではそんなことはない。誰だって自由にものを言える。

 この頃ものすごく腹が立つのが、犯罪をおかした者がすぐに、

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source : 週刊文春 2023年5月18日号