僕がアメリカのボストンにあるハーバード・ビジネス・スクールに留学し、MBAプログラムを学んだのは1991年からの2年間だった。そして、その地で学んだことが、後に楽天を創業する大きなきっかけになったと言える。
僕が日本興業銀行(現みずほ銀行)を辞めて、楽天を興した1997年頃は、大企業を飛び出して起業する道を選ぶこと自体が日本では珍しく、今と比べてずっと理解されない時代だった。実際に当時の僕の決断を支持してくれたのは、父や妻、そしてほんの一部の同僚だけだった。多くの人からは「そんな大それた考えはやめて、安定した銀行にそのままいた方がいい」というアドバイスを受けたことをよく覚えている。
だから、多くの人たちの「反対」にくじけることなく、それでも起業という選択をするためには、自分を奮い立たせ、突き動かすような強く大きな力が不可欠だった。従来の日本のルールを書き換え、シリコンバレーのアントレプレナーのように、「常識」に捉われないビジネスを自分自身の力で作り上げたい。そして、日本社会の「未来」に前向きな息吹をもたらす何かを、ビジネスの世界で作り出したい――。
そんな想いを実現するための心の大きな拠り所、もっと言えば自分の目標や計画を実現していこうと奮起する気持ちの原点の一つになっていたのが、2年間のハーバード留学で触れたアメリカでの体験だ。そこで学んだのは、シンプルに言えば、「『ビジネス』とは問題に直面し、それを解決するためにやるものだ」という考え方だったと感じている。
ビジネスとは「問題」ありき
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source : 週刊文春 2023年6月29日号