日本興業銀行(現みずほ銀行)に勤務していた20代だった僕がハーバード・ビジネス・スクールで2年間を過ごした時、自分の中の価値観を大きく変化させることになったのは、MBAプログラムの授業の面白さだけではなかった。

 同スクールには、アメリカをはじめ世界のビジネスを牽引していくであろう若者たちが数多く集まっていた。マッキンゼーやゴールドマン・サックス、P&Gやコカ・コーラなど名だたる企業で働く同世代たちの中で、僕はたくさんの刺激を受けながら学ぶことになった。そして、その時に出会った仲間とのネットワークもまた、楽天グループを経営するにあたって、自らを鼓舞する重要な要素になっている。

 例えば、楽天で後に英語の社内公用語化を行った時、僕がよく相談に乗ってもらったセダール・ニーリーも、ハーバード・ビジネス・スクールでの経験で繋がった一人だ。同スクールの経営学の教授を務める彼女には、今年の3月から楽天の社外取締役にも就任してもらっている。

 僕が英語の社内公用語化の方針を発表したのは、2010年。社内での会議や使用する資料を原則全て英語にして、楽天を真のグローバル企業としてさらに成長させていく――。英語の社内公用語化なくして、グローバル市場での成功はないという信念のもとに考えた施策だった。

 以前も書いた通り、当時、英語の社内公用語化には様々な否定的な意見もあった。しかし、結果として、現在の楽天では全ての社員が英語でのコミュニケーションを図っているし、グループ全体では外国人のエンジニアや人材もこの10年で実に約20倍にまで増えている(エンジニアに限って言えば、外国人の採用が今では8割を超えている)。

最も順応した「二重疎外者」

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source : 週刊文春 2023年7月6日号