自分が考える3倍のスピードで物事は変わる――。
約2年前に「未来」というこの連載を始めた時、僕はそんなことを書いた。実際、新型コロナウイルスの流行で世界は大きく変わったし、リモートワークなどのシステムはあっという間に世間に浸透していった。
中でもこの間、変化のスピードを最も実感したのは、生成AIだ。当然ながら、いずれはAIが社会の重要インフラになっていくとは思っていたけれど、ネット上の膨大なデータが絶えずディープラーニングされ続ける世界では、人間を遥かに凌駕する速度でアルゴリズムが進化していく。昨年からの生成AIの急速な発展のプロセスを、僕自身、驚きをもって見つめてきた。
現在、生成AIの開発はOpenAIのChatGPTが一歩リードしているとされる。しかし今後、AIの分野のテクノロジーがマネタイズされる仕組みが構築されていけば、彼らの覇権も永遠に続くとは限らない。
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source : 週刊文春 2023年8月10日号