【前回までのあらすじ】天童ショージの墓参りに訪れた久代奏は、初めて彼の妻・静香と対面を果たす。静香と会話を交わすうち、天童との甘酸っぱい思い出が蘇る奏。二〇一六年に天童がピン芸人の賞レース『ONE』で決勝進出した日には、仕事を休んでテレビの前に待機し、その後も彼のネット記事をチェックする日々を送っていた。そんな折、突然天童から連絡が――。
「久代さん宛に問い合わせがきてるんですが、これ、御本人でしょうか……」
『ONE』の三ヵ月後、勤務先の事務所宛にメールが届いた。差出人は天童ショージ。「折り入ってお願いしたい旨があります」と、自らの電話番号とメールアドレスが記載されていた。
パスワードは「たわしコロッケ」――何よりも確実な本人認証。奏は迷わず電話した。
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source : 週刊文春 2023年10月19日号
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