【前回までのあらすじ】SNSで誹謗中傷した人や元週刊誌記者など八十三名もの個人情報を瀬尾政夫はどう手に入れたのか――。久代奏がその謎を問い質すと、瀬尾はウイルスによる感染やSNSの投稿内容から個人を特定する方法を語り始める。ネットの情報収集に没頭し、時には自宅や職場を偵察する。紳士然とした瀬尾の狂気を孕んだ一面に奏は一層興味をそそられた。

 

「私が八十三人の情報を公開したとき、何が起こったと思います?」

 奏が小首を傾げると、瀬尾は「“出頭”です」と話した。

「ブログの非公開メッセージに、Twitterのユーザー名を知らせてきて『家庭があるので、どうか名前を載せないでください』とか『天童さんが亡くなられて、自分が恥ずかしくなりました』とか、第二次の公開を恐れるあまり、恥も外聞もなくこちらにすがってきたんです。怖くて仕方なかったんでしょう。彼・彼女らはきっと、実生活では普通に心根の優しい人なのかもしれない。でも、他人事なら鬼になる側面を確かに持っている」

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source : 週刊文春 2023年10月12日号