【前回までのあらすじ】名誉毀損で刑事告訴された瀬尾政夫のために、久代奏は先輩弁護士二人と戦略会議を開いていた。名誉毀損罪の違法性を斥けるためには、「公共性」「公益目的」「真実性」の三要素を満たす必要がある。だが、瀬尾はブログで「これが俺の恨みだ。怨念の深さに震えろ」と「私怨」を匂わす発言をしており、「公益目的」と認められない可能性があった。

 

「『私怨』について瀬尾さんは何て言うてはんの?」

「それが……個人的に許せなかった、というニュアンスですね」

「いや、それは危ないな。違法性阻却事由はスロットやから、三つ揃わんと意味ないで」

「私も『公益目的』について説明したんですけど『世のため人のためなんておこがましい』みたいなことを言うてはりました」

「迷惑なやっちゃなぁ。でも、もう一つ【或るカナリアのさえずり】って投稿文あったやん。あっちの方はモロに社会問題としての訴えやったで」

 青山に指摘されて、奏は膝を打った。確かに「確証バイアス」や「エコーチェンバー」といった言葉を使って、思考が偏っていく様を解き明かし、承認欲求や匿名性についても解説している。瀬尾は投稿文の筆者であることを認めているので「公益目的」の緒(いとぐち)になるかもしれない。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます

週刊文春電子版に超おトクな3年プラン59,400円が登場!月額プラン36ヵ月分と比べて19,800円、年額プラン3年分と比べて6,600円おトク!期間限定12月2日(月)まで!

キャンペーン終了まで

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

  • 3年プラン

    59,400円一括払い、3年更新

    1,650円/月

    オススメ!期間限定

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2023年9月28日号