【前回までのあらすじ】告訴人の藤島一幸から刑事告訴を取り下げる代わりに、一千万もの示談金を提示された弁護士の久代奏は、再び署で瀬尾政夫と向き合っていた。奏が示談内容を伝えると、瀬尾は突然、炎上系YouTuberが誹謗コメントを送ったユーザーに内容証明を送りつけ、金儲けしている話を始める。金目当ての一幸の狙いに瀬尾も気づいているらしかった。

「さすがに一千万はふっかけ過ぎなので、金額の交渉はできると思います」
奏はさりげなく示談の方向へ話を持っていった。瀬尾はその意図を見抜くように、柔らかく微笑んだ。
「久代さんは二十年ぶりに藤島一幸と会っていかがでしたか?」
必ずしも質問に答えるわけではない瀬尾との会話には、独特のリズムがあった。奏は相手のペースに呑まれないよう意識して答えた。
「もともと苦手な人だったんですけど、やっぱり話が噛み合いませんでした」
「友人として、彼のことをどう思ってます?」
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source : 週刊文春 2023年9月21日号