【前回までのあらすじ】元「ランキング・テン」のプロデューサー加藤達也にスター時代の美月の話を聞く奏。瀬尾の美月へのあまりの献身ぶりに二人は恋人関係だったのではと奏が疑問を呈すると、加藤は否定した後、ある思い出を打ち明ける。加藤行きつけのバーに美月が現れ、個室に誘われたというのだ。だがいざ部屋に入ると、そこにいたのは美月の恋人・三浦誠だった。
「俳優の三浦さんともご面識があったんですか?」
「昔は役者もレコード出してたから。芸能人でも何でもないプロ野球選手とかプロレスラーも歌ってたぐらいなんで。誠も番組終わりに何度か飯に行ってて、知った仲だったんです」
小さな個室で目の前に並んだ美男美女を見た加藤は「やっぱり絵になる」と改めて思ったという。
「気を取り直して事情を聴くと、二人して『結婚したい』って言うんですよ。誠が二十八で美月が二十二だったかな。二人とも眩しいぐらいに輝いてて、特に美月が幸せそうなんですよ。テレビマンの直感として、これはでかい仕事になるぞ、と」
三浦誠は映画・ドラマの主演クラスで、CMも自動車、飲料メーカー、製薬会社などの大型クライアントを持ち、事務所にとってはドル箱と言える存在だったらしい。
「もちろん、めでたいことだよ? でも、三浦の事務所の社長は業界のドンだったから。そうです、そうです。さっきのハガキの件で話したあの事務所ね。ちょっと嫌な予感がするでしょ?」
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2024年1月4日・11日号