【前回までのあらすじ】被告人質問の中で、瀬尾が珍しく感情を露わにし、「死の六時間前に天童から電話があった」「大分で高校に通っていた頃、美月を初めて見た」と明かす場面があった。公判は佳境に差し掛かり、弁護側による最終弁論に入る。これまで瀬尾の関係者を回り、その「人」に迫ってきた奏は、瀬尾が天童と美月に懸けていた思いを代弁しようとする。
しかし、お笑いタレントとして成功した天童さんの未来は、昨年一月の週刊誌報道によって暗転しました。
私生活上での不義が明らかになると、SNSや動画サイト、テレビのワイドショーなどが一斉に火を噴き、悪意に染まった暴言の数々が、天童さんただ一人に放たれました。
その膨大な誹謗中傷の一部を成したのが、本件被害者のSNSでの発信でした。しかもその内容は真実とはほど遠い創作であり、さらに、天童さんがテレビ番組でうまく結果を出せなかったシーンの動画のみを貼り付けていく、Twitter――現「X」――のアカウントを開設するなどしました。しかも、被害者は天童さんの中学時代の同級生だったのです。
結局、天童さんは全ての仕事から降板することになりました。
天童さんの自宅でピアノを教えていた被告人は、ご家族との交流もありました。だからこそ、誹謗中傷の被害に遭った人たちの悲惨な日常を生々しく捉えることができたのです。
ネットを開けば罵詈雑言が飛び交い、外に出れば週刊誌に盗撮され、名も知らぬ無数の者たちに、心身ともに来る日も来る日も監視される状態が続きました。妻の苦悩は言わずもがな、子どもも幼稚園を休まざるを得なくなったのです。
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source : 週刊文春 2024年2月15日号