高校卒業して島を出た時からいつかは奄美に戻るものと、漠然と思っていました。|元ちとせ

新・家の履歴書 第877回

稲泉 連
ライフ ライフスタイル

(はじめちとせ 歌手。1979年、鹿児島県奄美大島生まれ。2002年、シングル「ワダツミの木」でデビュー。以来、その唯一無二の歌声は国内外で広く支持を集める。5月31日、自身のルーツであるシマ唄を新解釈アレンジするライブを東京・代官山の「晴れたら空に豆まいて」にて開催予定。)

 

 私が生まれ育ったのは、当時は30世帯ほどが暮らす、奄美大島の海辺の小さな集落でした。

 自宅は建築関係の仕事をしていた父が建てた風通しの良い平屋で、両親と2人の姉、そしてすぐ隣にはおばあちゃんの家もありました。

 家には母が仕事で大島紬を織る機織り機があって、応接間には父の集めている骨董品や拾ってくる切り株などが飾ってありましたね。

 海と森以外は何もないので、子供の頃はとにかく自然と戯れて生きていました。遊びと言えば川で泳いだり、魚やエビを獲ったり。川に行くついでに母から「これ、洗ってきて」と体操着や靴下を渡されることもあって、遊びと生活が直接つながっているような毎日でした。集落ではいつも子供と大人が一緒にいる。だからお祝い事とお別れ事、人の生き死にも全てをここで見せてもらったという思いがあります。

 幼い頃、そんな私が好きだったのが動物と遊ぶことでした。森で懐いたイノシシや飼い犬の「ボン」を引き連れて歩き、小学校の授業が終わるまで校門の前で動物たちが待っていたくらいです。

 私は動物たちに、「遠藤君」や「小林さん」といった名前を付けていました。奄美には「(はじめ)」とか「(さかえ)」とか一文字の名字が多いでしょう。だから、子供心に都会風の名前に憧れていたんです。

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source : 週刊文春 2024年4月25日号

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