【前回までのあらすじ】は「山城法律事務所」の応接室で山岡成一と向き合っていた。現在七十四歳で元出版社社員、「奥田美月様」と宛名が記された和紙の封筒を持参していた。差出人は小谷義昭――美月転落のきっかけとなった九一年の「暴言テープ」事件の記事を書いた元ライターだ。実名や実家の店の情報など、瀬尾に個人情報を公表されたうちの一人だった。

 

「小谷さんは六十八歳ですからね。実家は――先生もご存じだと思いますが――静岡の酒屋で、店に苦情電話が殺到して、店外にあった瓶を割られたり、YouTuberが店でライブ配信したり、しばらくは大変だったようです」

 山岡との面談に備え、奏は公判資料の小谷に関するパートを読み返したが、ネット上ではマスコミ憎悪も手伝って、数え切れないほどの批判が集まった。

【週刊誌なんかなくなれ! マジでいらない】

【人の不幸でぶくぶく肥え太るマスゴミ】

【こいつこの店の社長ってこと? 人を地獄に突き落としといて自分だけいい暮らし? 許さん。逃げきれないからな、小谷】

【配達してるみたいだぜ。みんな一斉に注文しよう! キャンセル、キャンセル】

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます

週刊文春電子版に超おトクな3年プラン59,400円が登場!月額プラン36ヵ月分と比べて19,800円、年額プラン3年分と比べて6,600円おトク!期間限定12月2日(月)まで!

キャンペーン終了まで

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

  • 3年プラン

    59,400円一括払い、3年更新

    1,650円/月

    オススメ!期間限定

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2024年5月23日号