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北村滋が特定秘密保護法案成立の舞台裏を初めて明かした

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 2013年12月に成立した特定秘密保護法。内閣情報官として、同法案の制定に奔走した北村滋氏が月刊「文藝春秋」の連載「外事警察秘録」において法案成立までの過程を初めて明かした。

特定秘密保護法の制定が世論から大きな反発にあう

 安倍政権が法案制定に動き始めたのは、2013年7月の参院選翌日。ザ・キャピトルホテル東急の日本料理店「水簾」で開かれた安倍晋三首相主宰の会合でのことだった。この参院選で自民党は65議席を獲得。自公で過半数を上回り、“ねじれ国会”が解消された。

水簾での一コマ 著者提供

〈安倍総理と我々は、屈辱にまみれた敗北のリベンジを果たした高揚感の中にいた。その席で、私には具申すべきことがあった。「特定秘密の保護に関する法律」(特定秘密保護法)の制定である。(中略)

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「民主党政権時代に既に有識者会議の報告書は頂いています。世論の抵抗を考えれば、この法律は、短期決戦、即ち次期臨時国会での成立をめざすしかありません。手前味噌かもしれませんが、これが成立しなければ総理が目指される集団的自衛権容認への道も開けることはないでしょう」〉

国会前の「人間の鎖」 ⓒ時事通信社

 日米同盟強化を目的とした同法の立法作業は、すぐさま動き出す。だが、世論から大きな反発にあい、北村氏は理解を取り付けるため奔走することとなる。