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半導体復活プロジェクトの鍵は「北海道バレー」にあり

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 かつて世界ナンバーワンの座にあった日本の半導体産業は、1990年代後半以降、衰退の一途を辿り、現在は世界シェア10%未満にまで低迷。先端分野に関しては「世界から10年遅れている」とまで言われている。

 そんな惨憺たる状況の中、昨年8月に復活を期して国内の主要企業8社の合同出資により立ち上げられたのが新会社「ラピダス」だった。

きっかけはジョン・ケリーからの電話

 同社は2027年を目途に最先端である2ナノメートルの半導体を量産化する国家プロジェクトを掲げているが、「文藝春秋」8月号において、ラピダス会長の東哲郎氏と東京大学大学院システムデザイン研究センター長の黒田忠広氏が対談し、プロジェクト始動の舞台裏を語っている。

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東哲郎氏 ©文藝春秋

〈きっかけは、4年前の2019年にIBMの当時CTOだったジョン・ケリーから電話で「2ナノメートルのロジック(半導体内部でデジタルデータの演算・処理を行う機能)の開発が完了した。技術提供をするから、日本で製造しないか」と持ち掛けられたことでした。

 その瞬間に「日本がやらなければ他の国がやるだろう。これはラストチャンスだ」と思ったんです。ただ、そのIBMのロジックが使い物になるかどうかが問題。そこで小池淳義さん(ラピダス現社長)に検討してもらった。経産省や、半導体戦略推進議員連盟会長の甘利明さんにも相談しました。最終的にいけると見通しが立ったから、このプロジェクトが動き出したわけです〉(東氏)

 実は東氏とIBMとは、東京エレクトロン社長時代からの長年にわたる交流があり、それが技術提供の話に繋がったという。