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半導体復活プロジェクトの鍵は「北海道バレー」にあり

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新天地での挑戦

〈私とIBMの関係には長い歴史があって、2001年に米国同時多発テロ、セプテンバーイレブンがありましたよね。その翌年にIBMから、「NYを復興させるために、最先端の技術や産業を州都オールバニにあるNY州立大学などに集約させることをNY州政府と合意した。東京エレクトロン(東氏が当時勤務)も、参加しないか?」と言われ、オールバニのナノテクノロジー開発施設はこの3者で始まったという経緯があります〉(東氏)

 ラピダスは現在、北海道千歳市にある100ヘクタールもの広大な土地に工場を建設中だが、東氏はその地域を将来的に日本のシリコンバレーにする構想を抱く。

〈1つは土地の広さです。千歳市に建設予定の工場は、100ヘクタール(東京ドーム21個分)に及びます。水や空気も綺麗で半導体の製造に向いていますし、北海道庁も全面的にサポートしてくれる。そして何より他の企業と、人材やリソースの奪い合いをしたくなかったんです。例えば熊本にはすでにTSMCがいる、東北にはキオクシアがいる。そこに割って入るのではなく、あくまでも新天地で挑戦すべきだというのが私の持論です〉(東氏)

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熊本にTSMCの工場を建設 ©共同通信社

〈インフラ整備や、病院や教育施設も呼び込んで、私たちも町おこしを狙っています。それが日本経済の復興に繋がる。ラピダスは工場建設予定の千歳市だけでなく、周囲の苫小牧市なども巻き込んで、いずれは「北海道バレー」を形成したいと思っています。九州がシリコンアイランドと呼ばれるように北海道はシリコンバレーに倣ってですね(笑)〉(東氏)

 7月10日発売の「文藝春秋」8月号では、「日の丸半導体を復活させる」と題して、東氏と黒田氏が日本の半導体産業が低迷した理由や、ラピダスが抱える人材確保や資金繰りの課題について詳細に語っている(「文藝春秋 電子版」では7月9日に公開)。

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日の丸半導体を復活させる
半導体復活プロジェクトの鍵は「北海道バレー」にあり

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