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《SMAP“はじまりの日”が小説に》鈴木おさむが描く「伝説の番組誕生」と「モリクンとの別れ」

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 月刊「文藝春秋」では、放送作家の鈴木おさむ氏(50)が執筆した「小説『0909 ~そして、みんなで、あの日に、ピース~』」を7月10日(月)発売の2023年8月号、および「文藝春秋 電子版」(7月9日公開)に掲載する。デビュー間もない人気男性歌手グループを描いた物語で、昨年12月に発表した「小説『20160118』」に続く第2弾となる。

 鈴木氏は20年以上にわたり、「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)の放送作家を担当したが、前作は2016年1月18日の謝罪生放送の舞台裏を想像させる物語だった。今回は1996年、デビュー間もない6人組のグループが“アイドル冬の時代”に、その後、伝説の番組となるバラエティー番組を作り始める「はじまりの物語」だ。担当放送作家の「僕」の目を通してストーリーは展開する。

 鈴木氏は、4月13日に配信された「文藝春秋 電子版」のオンライン生番組「小説SMAPと芸能界とテレビの未来 編集長が聞く! 第2回」で、次回作についてこう言及していた。

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「事件を乗り越えて、筋力を付けて、巨大化して、さらに国民を魅了していく。SMAPの物語はその繰り返しです。ある意味、青春というか、キラキラしているんです。そういう青春期の彼らの話を書けないかなと」

 SMAPファンが期待を寄せていたこの予告がついに作品となった。以下、「小説『0909』」から抜粋して引用する。

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カット・城井文平

月曜夜10時は局にとっても「大きな賭け」

 6人の新番組は、河田町にある人気テレビ局で作られるタレント主体の冠番組で、しかも放送時間が月曜夜10時。

 時間帯を聞いてドキドキした。

 1996年の春までの時点で、テレビのGP帯、ゴールデン・プライムタイムと言われる午後7時~11時の一番輝かしい時間帯で、アイドルがメインとなり、番組が制作されたことはなかったからだ。

 GP帯で作られる番組のメイン出演者は、人気芸人、人気司会者が務めるもので。アイドルがいくら人気があるからいって、メインとして出演することはなかった。

 だからこそ彼ら6人で月曜夜10時という時間でバラエティー番組を作ることは、局にとっても大きな賭け。そしてなにより、彼らにとっても成功したら時代を変えることになる。

 イイジマさんは言った。