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会場は「江戸時代の酒蔵」、上映は「月2日」…岩手沿岸に映画の灯を復活させた劇場の“長続きするため”のスタイル

ミニシアターへ行こう! シネマ・デ・アエル(岩手県宮古市)

2024/05/05

source : 週刊文春CINEMA 2024春号

genre : エンタメ, 映画

note

「シネマリーンが終わるときに思いました。人口減少が今後さらに進む三陸沿岸では、経営者だけが苦労を一身に背負い、周りが劇場に足を運んで支える方法では長続きしない。 

特設劇場の蔵とともに国有形文化財に指定される旧酒造店の店舗兼主屋 ©熊崎敬

 そこでシネマ・デ・アエルは、みんなが主体的に、無理せず関わる形にしました。プロジェクトメンバーは、私も含めて本業の傍ら劇場の運営に関わっています」

「ウチの街でもこれを」各地の若者が見学に

 作品の選定は当番制で、チラシ配りやポスター貼りはみんなで分担。「ぼくは代表ですけど無理をしていませんし、むしろだれよりも楽しんでいます」と有坂さんは笑う。

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ロビーではコーヒーや紅茶などの提供も ©熊崎敬

 もちろん、作品を観に来る人たちも“神輿”を担ぐ大切な仲間。上映後に行なわれる感想会には、来場者に加え、時に監督や出演者も参加。自由に思いを語り合う中で、人と人とのつながりが生まれている。

 旧来のスタイルに縛られず、新たな映画館のあり方を模索するシネマ・デ・アエルは、地方劇場の新しい萌芽。「ウチの街でもこれを」と見学に来る若い人が後を絶たない。

シネマ・デ・アエル
岩手県宮古市本町2-2
電話090-8582-4940 
座席数:40席
オープン:2016年

会場は「江戸時代の酒蔵」、上映は「月2日」…岩手沿岸に映画の灯を復活させた劇場の“長続きするため”のスタイル

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