ハリウッドの製作陣が、戦国時代の日本を描いたドラマ『SHOGUN 将軍』。この作品でハリウッド初主演・プロデュースを務めたのが、真田広之だ。
常に撮影をチェックし、スタッフにも気を配り、あらゆる相談に応える…。真田演じる吉井虎永の妻・桐の方を演じた洞口依子と、虎永の弟・佐伯信辰を演じた奥野瑛太が、現場で体験した「とにかく凄かった」真田広之の姿を明かす。(全2回の2回目/最初から読む)
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等身大で対応するから、みんな萎縮しない
洞口 今回、撮影で真田さんとご一緒させていただいたのですが、とにかくいつ行っても現場にいらっしゃるのに、すごく驚いて。奥野くんの現場にも真田さん、いつもいらっしゃった?
奥野 ずっといらっしゃいました(笑)。
僕は出番が第7話からだったので、途中から飛び込んだ感じだったんですけど、現場を見学していたときに、真田さんがあまりに周囲と溶け込んでいるので、全然気づかなくて。
そうしたら「お、弟よ、お願いします」って真田さんから声をかけてくださって。「うわー!! ごめんなさい! こちらこそよろしくお願いします!」みたいな感じ(笑)。大先輩なのに、とてもフランクなんですよね。
洞口 現場に「クラフティ」という軽食を出すコーナーがあったでしょ。そこで並んでると、真田さんがいつの間にか背後にいて「今日はね、ビーフシチューがおいしいよ!」とかお茶目に言うんですよ。
でもその気配りは、キャストに限った話ではなくて。監督、衣裳、ヘアメイクなど、全てのセクションに細かく気を配っていらっしゃるんですよ。
奥野 真田さんって何人いるんだろう?って思うぐらい、本当にどこにでもいらっしゃいましたよね。
洞口 真田さんほどのベテランになると、どこかしらに垣根があったりして、恐れ多くて話しかけられなかったりする場合もある。
だけど真田さんは、どんな小さな役、どんな役割のスタッフであろうが、等身大で対応するから、みんな萎縮しないんですよね。
奥野 役者としてはもちろんなのですが、それだけじゃなくて、もうとにかく全てがすごいですよね。
現場に入る前に田中泯さん(※映画『たそがれ清兵衛』で真田と共演)に「真田さんってどういう人でした?」ってリサーチしたりしたのですが、いざ対峙すると「あれは自分にはできねえ。自分とはほど遠い人だ!」と、力の差をまざまざと見せつけられました。