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「いつ行ってもいらっしゃる」「何を聞いても答えてくれる」 大ヒットのハリウッド製作ドラマで<真田広之>が現場の心を掴むまで

『SHOGUN 将軍』洞口依子×奥野瑛太 対談 #2

2024/05/04

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画, 芸能, 国際

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時代考証も所作も何でも知っている

洞口 みんな何か質問があると真っ先に真田さんのところに行っていましたよね。「真田さん聞いてください」「どうした?」みたいな感じで、あちこちで立ち話している(笑)。

奥野 だって、何でも知ってるんですよ。時代考証にしても、当時の所作にしても、本当に造詣が深いので、何を聞いても答えてくれて。些細な事でも逐一、兄上に教えを乞うてました(笑)。   

 戸田広松(※虎永の腹心)に僕が手紙を投げるシーンは、どうやって投げると不自然ではないのか…。そうしたら、真田さんはカメラ位置を全て把握していて、「この角度で投げた方がいいから、俺がカメラから見えないようにして広松に投げる」って。

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洞口 奥野くんじゃなくて、真田さんが投げたの?

奥野 そうなんですよ! しかも直前になったら「やばい、俺が緊張してきた。できるかな、できるかな」っておっしゃっていて。

©2024 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks

 あれだけのキャリアがあるのに、カメラに映らないシーンでも、あんなに緊張感を持って撮影に臨んでいるというのが、本当にすごいと思って。

洞口 わかります。すごく謙虚な方ですよね。

 連歌のシーンで、私が脚本を見て「ちょっと下の句が…」とか、疑問を投げかけたら、「勉強いたします!」っておっしゃったんですよ。どんなに熟練者であっても、「勉強します」と素直に答えられる真摯な姿勢に衿を正されます。

奥野 そうなんです。ちゃんと緊張されるし、地に足がついている感覚を逃さない方ですよね。

真田広之に憧れて“日芸”に入学

洞口 あと第7話で奥野くんと真田さんが並んだとき、骨格がすごく似ていて兄弟いう設定にすごく説得力がある、絶妙のキャスティングだなと思いました。

©山元茂樹/文藝春秋

奥野 僕は、オーディションでした。最初は戸田広勝文太郎(戸田広松の息子。イギリス人航海士の通詞となった妻・鞠子に異様な執着を見せる)役でオーディションを受けたのですが、もう一回、佐伯役でオーディションできないかと言われて。

洞口 文太郎役でも楽しかったと思いますが、骨格の類似性を見ると、佐伯役で正解!! 

奥野 ありがとうございます。実は僕、子供の頃から真田さんを見ていて「すごい人がいるな」と憧れていたんです。僕は日本大学芸術学部卒なのですが…。

洞口 真田さんの後輩ってこと?

奥野 そうなんです。実は“日芸”に入ったのも真田さんが理由で。年代は離れているんですけど、憧れの先輩がどういう学校生活を送っていたのか気になって入学したんです。だから今回、やっと共演できて、本当に嬉しかったですね。