今春の海外ドラマで断トツの高評価を得たのは真田広之主演、ハリウッド発の戦国時代劇『SHOGUN 将軍』(ディズニープラスで独占配信中)だ。米国最大の“辛口”レビューサイト「ロッテントマト」では批評家の評価が100%に迫る勢い(一般評価も90%超)と驚異のハイスコアを叩き出し、絶賛の声がやまない。欧米で評判と聞くと「どうせ海外向けにアレンジされた奇妙な日本(を描いた作品)なんだろう」と思うかもしれない。確かにこれまでは日本が舞台でも、日本人から見ると違和感を覚える“英語劇”の作品を何度も目にしてきた。しかし、本作は主演の真田広之がプロデューサーも兼ね、日本から俳優や時代劇スタッフを連れて制作された紛れもない本格時代劇だ。実際にほぼ全編、日本人の役者が“日本語”をそのまま話すシーンで構成されている。海外の視聴者にとっては外国語作品と映るだろう。
本作はジェームズ・クラベルの原作小説を基に1980年に米国で放送されたテレビドラマ(後に劇場版映画も公開)のリメイク。三船敏郎が演じた吉井虎長(徳川家康がモデル)役を真田広之が演じる。時は天下分け目の「関ヶ原」前夜。日本に漂着した実在の英国人航海士(三浦按針[ウィリアム・アダムス]がモデル)を巡って繰り広げられる権力争い。さらにはカトリックとプロテスタントの対立。陰謀や策略が渦巻く時代をスリリングに描く。「何を考えているのか分からない」とされる日本人の心や気質も、今作ではサスペンスを盛り上げる要素として効いている。
海外の目の肥えたドラマファンを唸らせているのは、役者の所作や佇まい、豪華絢爛な美術、繊細な衣装デザインなど細部への異常な拘りだ。妥協せずに“本物の日本”を描いたドラマが、大量の配信作品が溢れる現代に海外でもそのまま受け入れられた。この事実は日本のエンタメ作品の未来を切り拓く快挙だろう。
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『SHOGUN 将軍』
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