「ロッキーのような親父が欲しかった」シルヴェスター・スタローンが語る、父親との“歪んだ関係”〈背中を突かれ落馬させられたことも…〉

　シルヴェスター・スタローン、御年77歳。『ロッキー』『ランボー』シリーズで7、80年代に一世を風靡した“筋肉スター”もすっかり老けた。彼が自らの人生を赤裸々に語ったドキュメンタリー『スライ：スタローンの物語』（ネットフリックスで配信中）。この中でスタローンは実の父親との歪んだ関係を吐露している。

「俺の荒っぽさは……親父から受け継いだ」

　1946年、NYの下町で働く美容師の父、タバコ販売員の母の間に生まれた。両親は仕事で忙しく、幼い頃は毎日、映画館で過ごした。

「そこに理想の人生があった。（中略）ヒーローに憧れた」

　その後、両親は離婚。弟は母に引き取られ、スタローンは父親と田舎へ引っ越した。貧しかったが、戦中に騎兵隊に所属していた父は安い馬を買い、ポロのチームに入った。息子スタローンもポロを始め、13歳でランク入りするなどメキメキと腕を上げた。ところが、父が喜ぶことはなかった。試合中、理不尽にも息子の首を掴み、地面に叩きつけ、馬を連れ帰ったことも……。弟・フランクが回想する。

「父は兄に嫉妬していたんだ」

　なぜか息子を敵視する父。その姿勢は息子が成功した後も変わらず、勝手にロッキーの息子の物語を自ら創作し、「こっちが本物だ」と言って制作を促した。40歳頃、スタローンは再びポロを始め、父のチームと対戦した。しかし、ここでも事件が起こる。

「親父が俺の背中を突いた」

　落馬し大怪我する寸前に。

「試合で唯一の卑劣なプレーは、父から息子への攻撃だ」

　と試合後、スタローンは怒りを露わにする。それっきり、ポロはしていないという。

　父親からの愛に飢えていた男は“理想”を映画で描いた。

「ロッキーのような親父が欲しかった」

　父に対する感情は劇中のトレーナー、ミッキーへ怒りをぶつけるシーンに結実した。スタローンの映画には、彼の実人生が刻まれている。