両親への恩返しを原動力に
今年1月には、同い歳で親交のあったDeNAの梶谷隆幸と都内で初めての合同自主トレを敢行。2時間ぶっ通しでバットを振り続ける“梶谷流”の練習を日々ともにし「最初はアイツ、どんだけバット振るねんて思いましたけどね。初めて1月に手袋が破れましたよ」とボロボロの打撃用手袋とマメだらけの両手を見せてくれた。
力をくれる人たちもいる。父・達也さん、母・正枝さんは関東で暮らすため、ほとんど試合は見に来れない。甲子園に足を運んでも、ベンチスタートで“空振り”に終わることもあった。数年前、「今年でクビになるかもしれないからユニホーム姿を見に来て」と、2軍戦に両親を呼んだことがあった。その時、父・達也さんは、血色悪く、やせこけた顔で球場に姿を見せた。「親父の顔が本当にひどくて……。自分がクビになるかもしれないと聞いて相当ショックだったんだと思いました」。だからこそ、1年でも長く……。両親への恩返しの思いも強くして今は、プレーする。
矢野監督は就任会見で「(期待するのは)きれい事でも何でもなくて僕は全員だと思っています。今年、2軍からはい上がっていった選手も数多く見ています。どの選手にも大きな可能性があると僕は信じてます」と言い切った。荒木にもチャンスはある。もう若手とは言えなくても、一花咲かせる力と勢いはまだある。30歳の意地と底力を見たい。
遠藤礼(スポーツニッポン)
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