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eスポーツ業界が一体となれるか

 3つ目は、eスポーツ業界の一体感だ。オリンピック開催にあたって、それぞれの競技団体のトップが揉めることは想像し難いが、競合同士であるゲーム会社の衝突は避けられそうにない。

 ゲームには多くのジャンルがあるが、同ジャンルのゲームタイトルは完全な競合同士になる。サッカーゲームひとつとっても、上記の2タイトルがしのぎを削っており、オリンピックでeスポーツが正式競技になった場合、どちらが採用されるかは協議が難航しそうだ。

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 また、誰が業界全体を取りまとめるのかという大きな課題もある。2018年、日本では一般社団法人「日本eスポーツ連合(JeSU)」が発足したが、まだ業界の一体感を形成するには至っていない。JeSUはセガの岡村秀樹社長を筆頭に、各ゲーム会社の役員やスポーツ関連の協会長などが名を連ねる。彼らは、日本のプロゲーマーにプロライセンスを発行しているが、すべての海外ゲーム会社が正会員になっているわけではないので、世界で主流となっている海外ゲームタイトルのプレイヤーにはライセンスを付与できない可能性もある。

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 現状、前述の法律的な観点と知的財産権の存在によって、ゲーム関連会社以外がeスポーツビジネスで大きな利益を出すのは難しい。2018年に入り、ゲーム以外の様々な業種の会社が参入しているのは明るい兆しだ。

 辛抱強くeスポーツへの投資を続ければゲームユーザーのコミュニティが成長し、興行として成り立ち、放映権の売買など関連ビジネスが次々と利益を生み始める事は海外のeスポーツシーンが証明している。まずは2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目指し、計画的な投資が行われることを望みたい。

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