日本で高額賞金は違法?
まず日本では法律上、海外のような高額賞金を簡単に出すことができない。正確には、賞金拠出の自由度が極めて低い。海外では、ゲームユーザーからの売上や、大会チケットの売上で賞金を補填することが可能だが、日本ではこの方法は景品表示法や賭博罪に抵触する可能性がある。そのため、大会の賞金が高額になる場合でも、ゲーム会社や主催者が一括で捻出する必要がある。また、モニターを使った娯楽を有料で提供すると風営法に反する場合があり、バーやカフェなどの既存施設でeスポーツ大会を開催するのはハードルが高い。リーズナブルなチケット代と高額賞金を両立出来ないため、大規模な大会は、ゲーム会社やイベント会社が赤字での運営を強いられていることが多い。すべての賞金を主催者やゲーム会社が一括で出せば消費者庁も静観するようで、年末にはCyberZ(スマートフォン向け広告マーケティング会社)が主催する優勝賞金100万ドル(約1億1000万円)の大会が日本で開催される。
この先の日本での発展は、官民が一体となり、eスポーツ向けの法改正を進めていけるかどうかも大きなポイントとなる。
ゲーム会社の寛容な姿勢も不可欠
また、普及にはゲーム会社の寛容な姿勢も不可欠だ。人を集めて草サッカー大会を開くとき、施設の利用料はかかっても「サッカーという競技」の利用料は発生しないが、eスポーツにおける「競技」は各ゲーム会社が制作した「ゲームソフト」だからだ。サッカーゲームであれば『ウイニングイレブン』や『FIFA』シリーズなど、それぞれの「競技=ゲームソフト」の権利は必ず誰かが保有している。これら各ゲーム会社のIP(知的財産権)をどれだけ柔軟に活用していけるかも課題となる。
確かに、ゲーム会社からすれば、自分たちの開発したゲームで第三者が利益を享受することを安易に許可できないだろう。しかし、それでは権利者であるゲーム会社自身が企画しない限りeスポーツイベントが開けず、大会数や規模の拡大は見込めなくなってしまう。
ただし、小規模であればゲーム会社が容認するケースも多い。自社ゲームのユーザーコミュニティを育てていく姿勢は各ゲーム会社も持っているようだ。イベントでの利益の分配システムなどをうまく構築していくことができれば、様々な収益構造を持ったイベントが生まれ、発展の鍵となりそうだ。