東京オリンピックが開催される2020年が迫ってきました。同大会の開催期間は7月24日〜8月9日。56年ぶりに日本で開かれるオリンピックに期待が膨らむ一方、記録的な猛暑となった2018年の夏を受けて、暑さ対策が急務になっています。特にマラソンや競歩など、屋外で行われるスポーツでは、晴れた日は選手が長時間にわたって直射日光に晒されるため、気温によっては熱中症や脱水症状に陥るリスクが高まります。
かなり前の記録ですが、1900年のパリオリンピックでは、気温35〜39度の中で男子マラソンが行われ、半数以上の選手が途中棄権を余儀なくされました。また、1912年のストックホルムオリンピックでは、猛暑のなか男子マラソンが行われ、ポルトガルの選手が脱水症状により命を落としています。
これらは、大会運営や選手へのサポート体制が今ほど整っていなかった時代の話ではありますが、記憶に新しい2004年のアテネオリンピックでも、憂慮すべき事態が起きています。同大会では、18時から女子マラソンが行われました。夕方から夜にかけてのレースなので、時間とともに暑さが和らいでいったとはいえ、スタート時の気温は35度。湿度が高かったこともあり、メダリストは全員、ゴール後に嘔吐してしまったのです。
では、東京オリンピックでは、選手たちはどれくらいの暑さのなかで競技を行うのでしょうか。私は2018年7月末の晴れた日に、温度計を持って実際のマラソンコースを巡ってみました。マラソンは当初、午前7時半スタートと発表されていましたが、暑さ対策のため、30分繰り上げた午前7時スタートに変更されています。
その午前7時、スタート地点の新国立競技場付近では、既に温度計は30度。浅草や東京タワーなど、東京の観光スポットを通るコースの中で、33キロ付近に位置する皇居外苑へ9時に行ってみると、なんと気温は39度を超えていました。