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「ドルガバ、Supremeを着ているのは誰か?」無視できない中国マネーとファッションブランドの理想と現実

速水健朗×おぐらりゅうじ すべてのニュースは賞味期限切れである

「太っている人にはアバクロの服を着てほしくない」発言のダメージ

速水 あのドルガバの動画は、イタリアンの代表であるピザを東洋人が箸で不器用に食べることで「似合ってない」「不相応だ」的なメッセージを意図していたわけだけど、逆にとらえると、中国がイタリアを食べちゃってる構図と見ることもできる。中国マーケットに支配されるファッション業界を端的に表してるよ。

おぐら デザイナー本人による一応の謝罪があれほど早かったのは、敵にまわして不買運動が起きると相当のダメージだからですよね。

 

速水 中国だけじゃない。アバクロ(アバクロンビー&フィッチ)は前CEOが「太った人にはアバクロの服を買ってほしくない。細くて美しい客のために服を作ってる」と発言したことが掘り起こされて、ボイコット運動にまで発展、ブランドイメージが決定的に悪くなって、ついに今年の後半からは、胸のワンポイントを外した。5年前にCEOが発した問題発言からいまだ回復しきれてない。

おぐら ブランドのロゴが付いてるだけで売れることもあるし、ロゴが付いてるから買いたくないってのもたしかにありますね。

速水 ほかにも、2011年にはジョン・ガリアーノがナチスを称賛する動画を公開されて、一時的にファッション業界を干されたりとか。

おぐら クリスチャン・ディオールと、自身のブランドであるジョン・ガリアーノを解雇されました。その後、マルタン・マルジェラのクリエイティブディレクターとして復帰しましたけど。

速水 ファッションデザイナーは、本質的には規律や美意識に敏感な人たち。でもそれとは裏表で、選民意識とも相性がいいよねってこと。

 

おぐら ハイブランドのデザイナーにはセクシャルマイノリティがすごく多いですが、だからといってあらゆる多様性を歓迎しているわけではないと。

速水 ゲイのなかでも、ゲイピープルに理解のあるリベラルな男より、差別意識を持っているゲイ嫌いなノンケのほうが好みって場合は少なくない。これはファッションデザインとも似ていて、規律を愛するファッションデザイナーが多様性を嫌うというのは絶対ある。