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書籍はあゆみクオリティ

 このリニューアルに際して、書籍売場については、スペースや配置の見直しの他、特別な選書や大規模な商品の入れ替えはおこなっていないという。アニメ化・ドラマ化・話題書などを押さえた上で、プラスアルファの人文書やコミックスなどの魅力的なラインアップ、つい手に取ってしまいそうな並び、さすがのあゆみクオリティだ。

新刊書の棚、人文系とコミックスが強いのは、あゆみBOOKSらしさ。
コミックス棚は改装前よりも拡大したジャンル。

 コミックスが強いのはあゆみBOOKSチェーンに共通する特徴だが、最近の売れ筋はもちろん、ちょっとディープな旧作やアニメ関連本も充実している。荻窪は、アニメ制作会社が多く集まるクリエイターの町。実用的なデザイン書、アニメ制作の裏側を描いた本なども売れる。マニアな本もあるが、最近の売れ筋も外さない。バランスがよい。意図的な選書というよりも、日々の仕入れや陳列の中で、この店のお客様に売れるもの、アピールするものを選んでいった結果、棚が育ってきた、そしてそこで本を買ったお客様がよい読書体験をすることで再来店する、お客様も店に育てられている。そんな好循環がこの売場を作ってきたのだろう。

 リニューアルに際しては、いったん全部の商品を出して、内装や棚を一新し、配置を見直して再度の棚詰めをおこなっている。リニューアル後の売上げは好調というが、蓄積されたものが、新しい器で発揮された結果だろう。

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芸術書新刊。デザイナー御用達の実用的な本から、楽しみのデザインまで幅広い。

 佐々木店長は、本好きな人だけに通好みの本をアピールするよりも、より、一般のお客様を大事にしていかなければならないというのを強く意識しているという。ここで、「一般のお客様」というのは、平均的日本人ではなくて、地元荻窪の、この場所にこの本屋がある町のお客様なのかと思う。

【本の話WEB読者にオススメ】

佐々木祐介さん、『上村一夫表紙画大全集』とともに。

 そんな佐々木店長のオススメ本は、『上村一夫表紙画大全集』(少年画報社)。1986年に亡くなったマンガ家さんの作品集。コアなファンがいる上村一夫さんの作品を縦覧できる、ファンにはたまらない本(「通好みの本をアピールするよりも一般のお客様」と言ったそばから、こういうディープなオススメで来るあたりは、なかなかいい感じです)。竹久夢二に影響された叙情性、描く女性の強い眼差し、没後30年で回顧展も開催されている再び注目が集まる作家だ。リアルタイムで読んだことがなくても、ストーリーもインパクトのある画風もすごくいい、若いアニメーターやデザイナーにも読んでもらいたいので目立つところで展開したいと、佐々木店長は言う。