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卒業より解散のほうが「落ちた感」がないんです

――自分たちが演奏して、増井さんが衣装デザインして、槙田さんが振り付けして、セルフでなんでもできるグループに近づいていく。メンバーの発言も含めて長く続いていくんだろうなと思ってました。

槙田 私もそう思ってました(笑)。でも、PASSPO☆に限らず、中途半端に続けるより解散のほうがいいと思うんです。解散って美しいじゃないですか。PASSPO☆の解散ライブを観て、より実感しました。それに、メンバーにとって卒業より解散のほうが「落ちた感」がないんですよ。私だったら「PASSPO☆を卒業したら興味がなくなった」というファンの方がたくさんいたと思うけど、解散だと全員がPASSPO☆じゃなくなったから変わらず応援してくれるんじゃないかなって。ベイビーレイズJAPANなんて、事務所が解散した後の仕事をしっかり用意してるじゃないですか。全員が新しいスタートラインにたったように見える。私も解散のほうがよかったな(笑)。

 

――いやいやいや(笑)。何を思いながら自分のいないPASSPO☆のライブを観ていたんですか?

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槙田 一度、私がいないPASSPO☆のライブを観た時は全然違うグループに見えたんです。私は本当にこのグループにいたんだろうかと思うくらい。でも、ラストライブを観て「確かにこのグループにいた」と思えたんです。セットリストに少し前の曲もあったし、みんなのエネルギーもすごくて。

「このままPASSPO☆にズルズルいたらヤバいな」

――ラストライブのエンドロールに槙田さんの言葉が出てきました。

槙田 私にとってPASSPO☆は「血液」というメンヘラみたいなコメント(笑)。実際、私が今後何をしようと根本にはPASSPO☆があるんですよ。いまの私はすべてPASSPO☆で作られていると思って。常に体の中にあるものだから「血液」と書きました。いまの仕事をしていても比較対象は常にPASSPO☆で、いま面倒見ている子たちに対しても「PASSPO☆と比べたらこうだろうな」としか見ることができないんです。

――改めて、槙田さんがPASSPO☆を卒業した理由を教えてください。

槙田 このままズルズルいたらヤバいなと2年くらい考えていたんです。でも、生活の中に当たり前のようにPASSPO☆があったから一歩踏み出すことができなくて。まこっちゃんも同じようなことを考えてたけど、「この子はやめないだろうな」と高を括っていたんです。でも、まこっちゃんが本当に卒業を決めたから驚いて(笑)。「先を越された!」と卒業のスイッチが入ったんです。事務所の方は「槙田紗子はやる気にあふれていて、PASSPO☆をやめるわけがない」と思ってくれていたみたいで、すごく驚かれました。「絶対戻りたくなると思うから」と言われて活動休止期間をいただいたんですけど、私の中で気持ちが変わることはなくて。

――25歳くらいまでは「将来を決めるモラトリアム期間」と考えてもいいと思うけど、槙田さんは「ズルズルいたらヤバい」という認識だったんですね。

槙田 最初の3年くらいは自分の若さもあって、「このまま売れて有名人になれるんだろうな」と思っていたんですけど、私が思い描いていた未来と違ってきたんです。自分たちの力ではその未来は変えられそうにないし、ずっとアイドルを続けられないことも分かっていたので、いいところで身を引こうと思ったんです。