2018年は、とにもかくにも安倍1強が続いた1年だった。今年前半に騒がれていた森友・加計学園問題も、もはや多くの人にとって記憶の彼方。働き方改革関連法、改正水道法、改正入管法などをいずれも十分な議論がないまま押し切ってみせた。消費税も来年10%に増税する。与党の圧倒的な議席数と下がらない内閣支持率のなせるわざだろう。
そんな今年の政治にまつわる発言を振り返ってみたい。
「2018年失言大賞」を贈りたいのは……
杉田水脈 自民党・衆院議員
「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」
『新潮45』8月号
爆発的に話題を呼んだのがこの発言だ。自民党の杉田水脈衆院議員が月刊誌『新潮45』8月号の特集「日本を不幸にする『朝日新聞』」に書いた寄稿文「『LGBT』支援の度が過ぎる」の中の一節である。杉田氏には「2018年失言大賞」を贈りたい。
この発言は、「生産性」という言葉を使って線引きすることで、子どもを持つかどうかで人の価値を判断しており、明らかに差別を助長するものだ。自民党は2017年の衆院選で「性的指向・性自認に関する理解の増進を目的とした議員立法の制定を目指す。多様性を受け入れる社会の実現を図る」という公約を掲げていたが、杉田氏の発言は公約違反でもある。同氏は『新潮45』2017年3月号でも「『多様な家族』より普通の家族」と題した寄稿を行っていた。
安倍晋三首相は杉田氏の発言について「党としても『多様性』について尊重する党であります」と強調しつつも、「私たち(は同じ)自民党ですから『あなた、お前、もうやめろ』というわけではなく、まだ若いですから、そういうことをしっかり注意しながら仕事していってもらいたい」と擁護した(ハフポスト日本版 9月18日)。杉田氏は多くの批判を浴びたが、現在も自民党議員として講演、イベントなどで積極的に発言している。
暴言・失言が問題にならなかった1年
政治家の暴言が暴言にならない1年だったということも感じた。その顕著な例が、麻生太郎副総理兼財務相の一連の暴言、失言だ。
麻生太郎 副総理兼財務相
「セクハラ罪という罪はない」
ロイター 5月8日
女性記者へのセクハラ疑惑を報じられた福田淳一前財務事務次官についての発言。続けて「殺人とか強制わいせつとは違いますから」とも述べている(BuzzFeed News 5月5日)。当初、麻生氏は福田氏の処分を見送っていたが、結局福田氏は辞任。麻生氏は辞任を公表した際、「はめられて訴えられているんじゃないかとか、世の中にご意見ある」と言い放った(毎日新聞 4月24日)。セクハラ問題関連については、自民党の下村博文元文部科学相の「(セクハラ録音は)ある意味犯罪」という発言も忘れ難い(時事ドットコムニュース 4月24日)。