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藤浪が849日ぶりの完封勝利

 近年、不振に苦しんできた藤浪晋太郎が、9月29日の中日戦で849日ぶりの完封勝利で存在感を示した。開幕から精彩を欠きながら、この1勝も含め、最後は3連勝でシーズンをフィニッシュ。ただ、本人は「(感触が良かったのは)完封した中日戦ぐらいで、周りが言うほど、後半が良かったという印象は自分にないので」と怖いぐらいに冷静だ。今年、2軍でもがいていた時に口にした言葉がある。「人生で3回か4回は、歯を食いしばってやらないといけない時があると思うんです。今が自分の踏ん張りどころだと思うんです」。どちらが歳上かと勘違いするぐらい33歳の中年記者の胸に、24歳の一言はズドンと、今も突き刺さったままだ。自分は今まで歯を食いしばるような経験があったかどうか……。来季はプロ7年目。歯を食いしばった先に、また藤浪晋太郎という投手のスケールが大きくなる気がしている。

849日ぶりの完封勝利を挙げた藤浪晋太郎 ©スポーツニッポン

矢野新監督誕生

 金本前監督の辞任を受け、10月15日に矢野燿大新監督が誕生した。2軍監督として「超積極野球」を掲げ、ウエスタン・リーグ新記録の163盗塁を記録。1軍でも失敗を恐れない攻めの野球を体現してくれそうだ。監督の言動で今年目立ったのは、選手への“声かけ”。9月にようやく今季初昇格を果たした青柳晃洋には「1軍に送り出す俺が楽しみ。やってきたことを出してこいよ」と背中を叩いた。他にも、1軍の試合で三遊間の打球に飛び込んで左肩を亜脱臼した失意の北條史也には「あれを飛び込まないお前より、飛び込むのが北條じゃないの」と故障を生んだプレーを“肯定”して励ました。直接顔を合わせなかった時には、LINE(ライン)も駆使。絶妙な距離感で何度も、1軍へ巣立つ若虎を勇気付けていた。そんな“親心“に溢れた矢野監督が挑む2019年。気づけば、キャンプインまで、もう1カ月ちょっとだ。

矢野燿大新監督が誕生 ©スポーツニッポン

遠藤礼(スポーツニッポン)

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