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出勤日が近づいたら、自分の仕事が誰に役立っているのかを考える

 たっぷり休んで、家族との団らんも楽しんで、いよいよ明日は仕事始め――となった時、急に会社に行くのが憂鬱になる人は少なくない。「ブルーマンデー症候群(サザエさん症候群)」の新春スペシャル版だ。

「『自分の仕事が誰かの役に立っている』と思えないと、人は仕事に戻るのがつらくなるものです。でも、誰の役にも立たない仕事などありません。連休明けに会社に行くのがつらくなる人は、連休中にゆっくり考えてみるといいかもしれません。

 消費者のため、顧客のため、株主のため、上司や同僚のため、会社のため、家族のため……。自分の仕事が誰にとって役立っているのかを明確にし、自覚を持てれば、会社に行くことが憂鬱になることはないはずです」

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家族サービスで「やりがい」を身に付けておく

「メンタルヘルスのキーワードは『自分の存在意義が感じられること』。すなわち自分が人の役に立っているという感覚がもてることです」

 と語る山本医師は、会社に行ってから「誰かの役に立つ」ことを意識するために、正月休みのうちにトレーニングをしておくことを奨励する。もっとも手っ取り早く、効果的で、周囲にも喜ばれるトレーニング法がある。いわゆる「家族サービス」だ。

「大掃除、料理、買い物、子供の世話など、何でもかまいません。忙しくて普段できないことに積極的に取り組むことで家族から喜ばれ、“役に立っている”という自信を持つことにつながります」

 そう語る山本医師は、こうも言う。

「“お役立ち感覚”は“存在意義”でもある。仕事でも家庭でも、この感覚を実感することでその組織の一員としての自覚が醸成され、やりがいを持つことができるのです。これはワーク・ライフ・バランスを考える上でも非常に重要なことなのです」

 家族の喜ぶ顔に勝る栄養剤はない。「やっぱりお父さんね!」「さすがママ!」という反応が得られるよう、楽しみながら家族の時間を過ごしてみてはどうだろう。

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「気の持ちよう」を利用してテンションを高める

 もう一つ、山本医師が勧めるのが、「シミュレーション」だ。

「前年の自分の仕事を振り返り、やり残したことがないかを考えるのです。未完のままだったり、手つかずのまま放置してあったりする事案を頭の中で整理し、どうすればその仕事を成功させられるのかを、仕事始めの前日に、具体的に検討するのです。年の初めという独特の高揚感もあって、普段にはない夢を描ける可能性が高まります。そして、その高揚感を利用して、ヤル気に満ちた状態で出社すればいいのです」

 何事も気の持ちようだ。嫌々会社に行くよりも、嘘でもいいから「今年はいい年にするぞ!」と思い込むだけでも、気分は違ってくる。

 年の初めくらい、意識的に自分の気持ちを昂らせてもいいのではないだろうか。もしかしたら本当にいい年にできるかもしれないし、少なくとも憂鬱なまま出社するよりは気分もいいはずですよ。