新たな1年がはじまった。平成最後の冬。外は張り詰めたような寒さであるにもかかわらず、アツすぎるのである。何がって佳境に差し掛かった高校サッカーでも春高バレーでもなくて、電車の中である。屋外は10℃を下回る寒さで電車の中はガンガンに暖房。ところが乗客たちはみなたっぷりと厚着を決め込んでいるし、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車はさながらサウナ。お酒をしこたま飲んだ終電間際だったり、寝不足で迎えた朝のラッシュだったりすればそれはもう地獄のようなひとときなのである。冬の満員電車、実にアツすぎる。

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最も暑かった“あの路線”は26.7℃

 ならばどの路線が一番暑いのか気になってくるのが人の常。そこで、首都圏の鉄道路線のうち郊外に向かって延びている主な通勤電車の車内の温度を実際に計ってみることにした。狙った時間は夕方から夜の帰宅ラッシュ時間帯。筆者が乗車した列車や場所による誤差があることをご了承いただいて、まず温度の高い順からベスト5を見ていただこう。

2018年12月下旬、東京圏郊外へ延びる主な鉄道路線にて(筆者調べ)©鼠入昌史

 栄えある「トップ・オブ・極暑路線」に輝いたのは中央線(中央特快/26.7℃)。筆者も毎日のように利用しており、暑い暑いと思っていたから大納得である。さらに、上位3位(2位西武池袋線/26.1℃、3位京王線/25.7℃)までは25℃超えという驚異的な結果が出てしまった。25℃超えと言ったら最高気温なら夏日、夜中の最低気温ならば熱帯夜である。屋外との温度差は実に15℃以上。乗っているだけで汗ばむどころかコートの中はもはや汗だく状態だ。

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今回の計測で一番暑かったJR中央線
二番目に暑かったのは西武池袋線

中央線でも「こまめに停まる」電車は温度が低い

 自室の暖房だって25℃以上に設定することは少ないだろう。もちろん鉄道会社さんも25℃やら26℃という設定にしているはずもなく、明らかに満員電車の人いきれによってグングン温度が上がってしまった結果なのである。

 さらにもうひとつポイントを上げれば、上位3路線はいずれもいくつもの駅を飛ばして走る速達タイプの列車であること。同じ中央線でもこまめに駅に停まる列車では冷たい空気がたびたび入ることもあってか、23.8℃(阿佐ケ谷~荻窪)だった。つまり、駅に停まることなく長い時間走り続ける列車は、約3℃も高くなっているというわけだ。車内はどんどん暑くなっていくし、次に停まる駅もまだまだ先。そんなときに気分でも悪くなったら目も当てられない。お酒を飲みすぎてしまった帰宅の電車は、急がずにこまめに停まる列車を選ぶほうが賢い選択なのである。