「コント的なうそ」が『めちゃイケ』のすばらしいところ
佐久間 すごく思いましたね。そうか、で「2018年のバラエティ」というと『めちゃイケ』と『みなさんのおかげでした』の終了ということになるんですかね。
スキマ やっぱり、そこはけっこう大きいですよね。終わらせ方として、どう思われました?
佐久間 終わらせ方としてか……『めちゃイケ』は総監督の片岡(飛鳥)さんが離れてた時期もあって大変そうだったから、よく続いたな、という感じはします。
スキマ 確かに。それでも飛鳥さんが本格的に戻ってきた後の『めちゃイケ』はまた面白さを取り戻した感じがしました。特に「オファーシリーズ」の三浦大知さんの回は、全盛期の頃の勢いを思い出しました。
佐久間 『めちゃイケ』の場合はフジテレビのバラエティにある、「コント番組から始まるバラエティ番組」っていう系譜があって。『はねる』とか、『ピカル』とかもそうだけど。あれって、要は全体がコント的なうそも含めるけど許してね、というノリがあるんですよ。
たとえば「中居&ナイナイ日本一周の旅」では、番組の最後に「この番組はフィクションです」って但し書きがついてたりする。視聴者とうそを共有する番組なんですね。それはコントベースの番組だからできることなんですよ。それを作れるのってフジテレビしかなくて。他局でやると、「うそじゃないか」「ヤラセじゃないか」ってなるんだけど。
でもフジテレビが作っていてもそれが「ウソでしょ」という空気に徐々になってきたというか。孤軍奮闘でがんばってたけど、リアルとして見てもらえなくなった。
ライブに乱入する企画のときも、岡村さんが登場の数分前まで外で練習してたじゃないですか。普通はそんなわけないじゃないですか。早めに現地に入ってるはずだし(笑)。そういう「うそはうそ」として楽しみながら作るというのが『めちゃイケ』のすばらしいところだったんだけど。いまは視聴者のマインドとして「はい、うそ見つけたー!」みたいな時代だから、ロケコントってすごくやりづらいんですよねえ。
「モンスターハウス」もヤラセと言われちゃう
スキマ うそを共有できなくなった。
佐久間 はい。だから最近だと、「モンスターハウス」(『水曜日のダウンタウン』)をヤラセと言う人もけっこういるらしい。藤井(健太郎)さんがインタビューで言ってました。
スキマ ハハハハ。
佐久間 「あんなの、台本あるんだろ」と。あれは台本なんてないと思うし、そもそもそこを楽しむ企画じゃないのに。
スキマ むしろ完全な台本があってくれたほうがホッとするくらい、クロちゃんが凄まじいですよね。あんなのテレビで映していいのかってくらいですけど、これまでクロちゃんを追ってきたテレビの文脈があるからこその企画だからスゴい。
佐久間 いまはネットでのフェイクニュースは信じるくせに、楽しいうそは信じない、そういう感じがすごくあるなあと思いますね。