メディア装置の研究者にしてメディアアーティスト、落合陽一が個展を開催する。東京・天王洲、amana squareでの「質量への憧憬 〜前計算機自然のパースペクティブ〜」展。
写真で「質量」について考える
これまではテクノロジーを駆使したメディアアートを多く発表してきたが、今展の主たる出品作は写真だ。
「写真を撮ること、撮り続けることが好き」
というご本人に、展示によって目指すところを聞いた。
おそらくは「質量への憧憬」との展名がテーマを指し示していると思われるが、そこに込めた意は?
「毎年、自分の中でテーマを設定して研究や作品づくりをしています。今年はデジタルにないもの、非デジタルの質量性というものをしっかり考えてみたいと思っています。写真は日ごろからたくさん撮りますけど、デジタル写真の画像からは質量をあまり感じたことがない。ですがそれらを紙焼きプリントにしてみると、モノになるのだから当然かもしれませんが、質量があるとはっきり思わせます。
そこで展示は、その空気感や質量性の文脈を感じられるようにたくさんの写真に囲まれるものにしようと考えました。大きいプリントに仕立てた20数点の連作と、それらより小さめのプリントを100点。さらにはもっと小さい写真を1000枚以上、会場に貼り巡らせる計画をしています。見ていただくと物量に驚かれると思いますよ」