きょう1月19日は、歌手の宇多田ヒカルの36歳の誕生日である。宇多田は昨年、7thアルバム『初恋』をリリースしたほか、小袋成彬のデビューアルバム『分離派の夏』で、初めて新人アーティストの全面的なプロデュースも手がけた。デビュー20周年の記念日である12月9日には、千葉・幕張メッセで約12年ぶりの国内ツアーのファイナルとなる公演を行なっている。

36歳の誕生日を迎えた宇多田ヒカル ©getty

あの衝撃的なデビューから20年

 あの衝撃的なデビューからもう20年すぎたのかと思う人も多いだろう。1998年12月発売のデビューシングル「Automatic / time will tell」、翌99年2月発売の2ndシングル「Movin'on without you」の売り上げはともに100万枚を超えた。さらに1999年3月にリリースされた1stアルバム『First Love』は国内で860万枚を売り上げ、日本のCDアルバムセールスの記録を塗り替えた。

デビューシングル「Automatic / time will tell」

 音楽プロデューサーの松尾潔は、宇多田のデビューの数ヵ月前、のちに「Automatic」のカップリングとなる「time will tell」を聴かされ、驚いたという。日本人の声なのに、R&B、黒人音楽、洋楽っぽい雰囲気が色濃く、それも学んで身につけたのではなく、生まれつき肉体に備わっていると直感したからだ(※1)。松尾はその後、ブレーンの1人として宇多田のプロジェクトチームに参加する。デビュー前の準備に追われる最中には、まだ一度も会うことができていない彼女からプレゼントが送られてきた。そこに添えられたカードには、15歳の少女らしい、あどけない字で「私の足長おじさんへ」と書かれていたとか。彼は、たった一言でそのときの自分たちの関係をさらりと言い当てる、この言語感覚は並大抵のものではないと感じたという(※2)。

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860万枚を売り上げた1stアルバム『First Love』

 伝説の歌手・藤圭子の一人娘ということもあいまって、宇多田ヒカルはまたたく間に国民的スターにまつりあげられる。2002年リリースの3rdアルバム『DEEP RIVER』以降は、作詞・作曲にとどまらず、編曲・プロデュースからミュージックビデオにいたるまで作品にトータルでかかわるようになった。