渋谷の繁華街で警察と市街戦を繰り広げ、山手線まで止めた18歳の少年――。逮捕後、彼は「ガンが撃てるなら死んでもいい」と供述。少年に、裁判所はどのような判決を下したのか。昭和40年に起きた「少年ライフル魔事件」のその後を、鉄人社刊『高度経済成長期の日本で起きた37の怖い事件』よりお届けする。(全2回の2回目/最初から読む

犯人が所持していたライフル=東京都渋谷区(写真:時事通信社)

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東京渋谷・18歳少年ライフル魔事件

 このころになって、神奈川県警はようやく本格的な捜査を開始する。機動隊パトカー6台、警らパトカー7台、交通機動隊の白バイ85台、パトカー16台を動員、33ヶ所に検問所を設けて緊急配備についた。が、片桐の奪ったライトバンは多摩川を渡って東京都に入っていた。

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 14時過ぎ、東京都小金井市の小金井公園に到着。停車中の日産セドリックに乗っていた男女2人から車を奪い、Tさんを助手席に押し込んだうえで人質3人をピストルで脅しながら五日市街道から井の頭公園、さらに水道道路へ向かわせる。カーラジオからは「田所巡査が死亡」「乗り捨ててあったライトバンを発見」「主要道路で3千人の警官が検問中」というニュースが流れていた。

 逃走に協力させられた人々の後の証言によると、片桐は終始冷静で「ご迷惑をおかけして恐縮です」と妙に丁寧な言葉遣いだったそうだ。

銃砲火薬店に立てこもり…

 渋谷区に入ったころ、気分が悪いと訴え出た人質の女性を代々木上原付近の内科病院前で解放した後、区内を走り回る。17時、前出のロイヤル銃砲火薬店の向かいの渋谷消防署前で車を停めさせると、人質2人を車に残したまま1人で同店に押し入った。このとき、すでに警官の制服を脱ぎ私服だった片桐を店員たちは、しょっちゅう銃の手入れや弾の購入に訪れていた顔馴染みの客として快く迎え入れる。

 が、片桐は彼らに銃口を向け「誰も動かないでください。大人しくしていれば危害は加えません」と威嚇。そのまま店員の男女3人と女性店員の妹の女子大生の計4人を人質に店に立てこもった。