18時前、外では警察の包囲網が確立されつつあった。管轄の渋谷署をはじめ機動隊や原宿署の応援部隊が続々と到着。このとき片桐の手元には10丁を超えるライフル銃と散弾銃、数百発の弾薬が置かれていた。
ビールを飲みながら銃を乱射
18時過ぎ、片桐は最初の銃弾を外に向けて放つ。日本の犯罪史上でも類を見ない市街戦の始まりである。
最初の標的は店を包囲していた警察車両だった。ライフル銃の高い精度と射程距離を活かし、遠距離から次々にパトカーを狙撃していく。警察は建物の陰や街路樹の後ろに身を隠すよりなかった。なにせ、相手は人質を取り重武装した凶悪犯。警視庁は原宿署、青山署からも応援の機動隊員を現場に急行させ、最終的に防弾チョッキ着用の警官・機動隊員約600人が片桐と相対することになる。
警察にとって状況は最悪だった。店内に人質がいることもさることながら、ロイヤル火薬銃砲店が角地にあったため、複数方向からの狙撃が可能。実際、片桐は店内を移動しながら、時には威嚇射撃で警察を後退させ、時には精密射撃で特定の標的を狙い撃ちしていた。今まで経験したことのない軍隊さながらの攻撃に対して、警察には採るべき有効な手段が見つからなかった。
一方、現場周辺では大混乱が起きていた。流れ弾の危険性から近くを走る山手線30本が開通以来初めての全線ストップとなり、また銃声を聞いた住民や通行人ら野次馬が集まり、その数、約3千人。
片桐が放つ銃弾は彼らにも容赦なく飛来し、見物人の中からも負傷者が出る。
