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新聞社が興行主になる、メディアとしての矛盾

 まとめてみる。

 筒香の会見を報じた一般紙は東京新聞以外の5紙。そのうち「新聞社が主催しているので、なかなか現状が伝えられていない」というメディアへの指摘も載せたのは日経と産経のみ。

 高校野球全般についての発言を報じたのは毎日、日経、産経、読売の4紙。

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 論点を「子どもの野球」にして、高校野球という文字は載せなかったのが朝日。

 なんのことはない。高校野球を主催している朝日と毎日は筒香の「新聞社」発言は書かず、主催していない新聞は発言を載せた。わかりやすい。とてもわかりやすい。

©文藝春秋

 私がいつも皮肉だと思うのは、普段リベラルな論調と言われる朝日と毎日が高校野球になると見事なまでの「守旧派」になってしまうことだ。

 改革論はスルーしてほぼ美談中心。新聞社が興行主になる、メディアとしての矛盾がここにある。

酷暑の甲子園に問題意識を持ってキャンペーンを打った“あの新聞”

 ここで思い出してほしいのは昨年の酷暑のなかでおこなわれた高校野球・夏の甲子園大会だ。連投や試合日程など選手の体を心配する声がSNSにあふれた。あのとき、問題意識を持ってキャンペーンをうったのはどの新聞かご存じだろうか。

 東スポである。

 酷暑でおこなわれる高校野球や投手の連投について記事にしていた。美談でも否定でもなく検証していたのだ。

2018年7月30日、西東京大会決勝で日大鶴ケ丘の勝又温史投手が、154球を投じた試合後に脱水症状を伴う熱中症を発症した

 たとえば「高野連にズバリ聞いた 『猛暑対策は?』『京セラドーム移転開催の可能性も?』」(8月2日東スポWeb)

 さらに「殺人猛暑・甲子園 ドーム移転あり? 球児ナマ声を緊急アンケート」(8月4日東スポWeb)

 東スポは50人の選手にアンケートをおこなった。

《結局、選手50人の回答は「甲子園でやるべき」が47人。「球場にはこだわらない」が3人で「ドーム球場に変更すべき」は0人だった。実に「94%」という圧倒的な支持率で、甲子園での開催継続を望む声が多く聞かれた。》

 こうやって聞くことで、高校球児はやはり甲子園のグランドに立ちたいという結果を引き出し、そのうえで、

「金足農・エース吉田 『球数問題』現場から異論反論」(8月22日東スポWeb)

「ではどうすればいい?」という視点で紙面づくりをしていた。

 美談一色の朝日より東スポの方がはるかに問題意識を持っていた。記事はネットでも多く読まれていた。読者のニーズを確実にとらえたのだ。

 だからこそ東スポは酷暑に一人で投げぬく吉田輝星の出現に目が釘付けになったのだろう。5日連続で吉田を1面にした。私は30年以上東スポを読んでいるが、一人の人物が5日連続1面というのはあまり記憶にない。