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JRの二番煎じ……そんなの京急じゃない

 こんな黒歴史をわざわざこのインターネットの海に引っ張り出したわけ、それは今回京急の駅名変更のニュースを聞き、真っ先にこの成仏コラムを思い出したからです。私は罪悪感に苛まれていました。なぜなら産業道路も花月園前も仲木戸も新逗子も、「抱かれたい京急駅名ランキング」に入ってなかったから。今思えばせめて仲木戸は入れるべきだった。クラスではそんなに目立たない存在だけど、確実にファンはいるタイプだったのに。私服がおしゃれで遠足の時とかハッとするタイプなのに。仲木戸ラインを張って女子たちが一進一退の攻防を繰り返してたのに。5年前の私は、まだそのことに気づけなかった。歳をとるって、悪いことばかりじゃないですね。

 ああ、そんな仲木戸が2020年3月「京急東神奈川」になってしまうんです。誇り高き独自ネーミングを捨て、JRの二番煎じに成り下がるなんて、そんなの京急じゃない。仲木戸は地味かもしれないけど、センスあるから一番将来性は高い。仲木戸ガールズはそれを見抜いていたんですね。やだよ京急東神奈川なんて、絶対駅前のジーンズメイトで買った服で遠足くるじゃん!!

2020年3月から新しい駅名に

 仲木戸は「京急東神奈川駅」に、産業道路は「大師橋駅」に、花月園前は「花月総持寺駅」に、新逗子は「逗子・葉山駅」に、変わってしまいます。私は、最後の一人になるまで仲木戸は仲木戸と呼び続けようと決めました。これは贖罪です。仲木戸を「抱かれたい京急駅名ランキング」にランクインさせなかった罪を一生背負って生きていきます。その昔お殿様の屋敷を守っていた木の柵、そこから名がついたという仲木戸。花月園の前だから花月園前、産業道路と交わってるから産業道路。京急の駅名は、やはり無欲でした。ただ、かつて新逗子は、「湘南逗子」「逗子海岸」「京浜逗子」「新逗子」とコロコロ名称が変わった経緯があり、京急がそんな“名前コロコロ石原真理子イズム”を取り戻してくれることを、今は祈るばかりです。