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朝日も小見出しに「麻生氏発言後に導入」

 すると、ゲンダイの記事から約1週間後の2月1日、朝日新聞に「アベノミクス 効果に影 実質賃金 大半マイナス」という記事が。

 注目すべきは後半の「不正調査のデータを補正 企業の入れ替え方法変更」という段落に、「麻生氏発言後に導入」という小見出しがあるではないか。

 要点をまとめてみる。

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・毎月勤労統計の調査対象は約3万事業所で、このうち約半分を占める「30~499人」の中規模事業所については、抽出方式で2~3年に1度、調査対象を全て替えていた。

・ただ、この方式については、変更前後の変動が大きいとの指摘が以前から出ていた。

・その後、2015年10月16日の経済財政諮問会議で、麻生太郎財務相がこの問題を取り上げた。

・麻生氏は「毎月勤労統計については、企業サンプルの入れ替え時に変動があることもよく指摘されている」と発言。「(総務省の)統計委員会で、ぜひ、具体的な改善方策を早急に検討していただきたい」と求めた。

©ロイター/AFLO

日刊ゲンダイは「あ、あのときとっくに書いていたな」

 そして気になったのは次。

《厚労省は、有識者検討会をその後開かないまま、16年10月、18年1月から部分入れ替え方式を導入し、「過去の数値の改訂」は行わないとする調査手法の変更を総務相に申請。》(朝日2月1日)

 つまり、麻生大臣の一声で調査手法が変わったのでは? という疑惑である。ゲンダイが書いた内容がここに登場。

《根本匠厚労相は1月24日の衆院厚労委の閉会中審査で「麻生大臣の発言が(変更の)きっかけということではない」と反論している。》と朝日の記事は終わる。

 この「麻生発言がきっかけ疑惑」は、先述のように日刊ゲンダイが1月22日に書き、朝日はこの日2月1日に書いた。

 麻生発言がきっかけで統計方法が変更されたと確定されたわけではないが、私が注目したいのはタブロイド紙でいち早く書かれた内容が後日、一般紙でも報じられた点だ。

©iStock.com

 日刊ゲンダイや夕刊フジ、東スポなどの夕刊紙やタブロイド紙を軽視する人もいるが、先行して書いちゃう精神は後に「あ、あのときとっくに書いていたな」と感心することもしばしば。

 各キャラを利用すれば新聞に「出ている情報」だけでそこそこ楽しめるのである。今回も時間を経て一般紙も報じたことで「麻生きっかけ」説はスルーできない説となっていく様子がわかる。新聞読み比べの醍醐味のひとつだった。