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エッセイスト・群ようこが振り返る着物「小ドカン」、「大ドカン」時代

「着たい時に着物を着る、ただそれだけ」と気負わず日常生活に和装をとけ込ませている群ようこさん。そんな気ままな着物ライフを綴った『還暦着物日記』が上梓された。四季を通じた数多(あまた)の私物スタイリング写真に収めらた“紬”(つむぎ)に惹かれ、「ずっと“紬”が好きだった」という群さんに“紬”のこと、そして着物にまつわる“あれこれ”を伺った。

※着物、帯、小物はすべて私物。小物スタイリングは石田節子(衣装らくや石田)

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群ようこさん 還暦を過ぎて、小紋の柔らかさも好きになった。小石丸という蚕から取った色無地一ツ紋付きに正倉院文様の帯 ©文藝春秋

高校生の時に自分で買った着物

 最初に着物を買ったのは16歳の頃だから、高校生ですよね。うちは、祖母も母も着物が好きで、母は学校で家政科の和裁を専攻したんですよ。小さい頃に私と弟が着た着物はもちろん、布団も洋服も自分で縫っていました。学生時代に「成績がいいから」と指名されて、校長先生の式服を縫ったというのが母の唯一の自慢なんです(笑)。

 母のところに反物を持って呉服屋さんが来ていたので、私も「ふんふん」と横で見ていたんですが、呉服屋さんも商売だから、「お嬢さんは成人式はどうなさるんですか」みたいな話になるわけです。

 でも、私はその頃から成人式の振袖には全然興味がなくて、紬ばかり見ていた。呉服屋さんは「あれ?」という感じでした。

これも紬! 伊兵衛織は現在はもう生産されていない。帯はチベタンラグを象った名古屋帯 ©文藝春秋