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日本家電は、ものの質が低下して多機能化した

「家電の作り」について最近は日本のメーカーに疑問を持っている。

「家電製品を触ってると、ものの質の値打ちが落ちてきている気がします。30年前のエアコンとか頑丈でしたもの。そういうこというと必ずメーカーさんは『コストの問題』とおっしゃるんですが」

 

 家電製品はものとしての質が低下した代わりに、多機能になった。IoT製品のように冷蔵庫や炊飯器がインターネットでつながり、スマートフォンでの操作も可能だ。だがそれも小野さんは腕を組んで「うーん」と苦笑い。

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「スマホ経由で炊飯器の炊き分けを、うちのお客さんがするかなあ。若いお客さんなら便利でしょうけれど、年配のお客さんにはどうなんだろうと思います」

 そんな小野さんが共感しているメーカーがある。「バルミューダ」だ。ミュージシャンだった寺尾玄氏が2003年に創業した家電メーカーで、高価格だがデザインに優れ、高品質が売りだ。2015年に発売したスチームトースターは2万円を超える価格なのに、焼き上がったパンが本当に美味しいとヒット作となった。オノデンの店内にはバルミューダ製のトースターや扇風機のほか加湿器など他の量販店ではあまり見掛けたことがない製品も置かれていた。

売り場の様子

「扇風機を作られて寺尾さんがうちに持ってこられたのが最初のきっかけでした。正直なところ4980円の扇風機の隣に2万円代の扇風機を置いて売れるのか半信半疑だったんですが、デザインが良かったので置いてみたら売れました。売れて目からうろこという商品ですね。高級マンションにお住まいで家電のデザインにこだわられる方とか、ゴルフコンペの景品として法人の総務部が購入されるケースもあります」

使いこなせるか否かで二極分化している

――デザインの高級感だけでなく、トースターのボタンが2つだけとか、小野さんがおっしゃっている「使いやすい家電」でもありますね。

「そうなんですよ。私が意見する立場にはないんですが、コンセプトが合う。寺尾さんが徹底したユーザー目線で製品を作っている意思の力を感じるんです」

「今の家電はユーザーに優しくないんですよ。10年前なら良かったかもしれないけれど、目がかすんできてパソコン用語がよくわからない人に10年前と同じ表記とか使い方はもうダメなのね。ユーザーさんの高齢化にあわせてくれないと、そこまでお客様がなかなか到達できないんですよ。使いこなせるかこなせないかという二極分化になっていますね」