「スコセッシ監督は活躍している監督の中で一番尊敬する方なので、自分が出演できるのは夢のまた夢でした。前半で強い存在感を残さないといけない非常に重要な役でしたから、全身全霊で臨みました」
マーティン・スコセッシ監督の最新作『沈黙―サイレンス―』(1月21日公開)は17世紀、キリシタン弾圧下の長崎を舞台に、棄教を迫られる司祭と日本の信徒達の苦悩を描いた大作映画だ。A・ガーフィールドやリーアム・ニーソン、窪塚洋介や浅野忠信らハリウッドと日本の豪華俳優陣が集結。拷問される隠れキリシタンのモキチを演じた塚本晋也さんは、遠藤周作の不朽の名作に文字通り体当たりで命を吹き込んだ。
「海上の十字架に括りつけられて何度も大波をかぶるシーンは、物理的にかなり大変でした。十字架から落ちる間際など、片方の手首だけ紐で繋がれているから波で何度も十字架に叩き付けられるんです。もう背中が傷だらけ(笑)。最期にモキチが賛美歌を歌う場面は、もともと予定になかったのを僕のプレゼンで監督が採用してくれたんです。当時の歌を調べて、歌いやすくて情感のあるものを選びました」
本作は自身の監督作『野火』('15)と深く共鳴したという。
「僕に特定の宗教心はないけど、いつの時代も権力によって一般の人が苦しめられるという普遍的な構図は同じ。信じるものを権力により弾圧されるのと、戦争によって生きる意志を潰されてしまうのは、僕にとって同じテーマでした。油断しているとそういう時代はいつでも来てしまうと思う」
『沈黙―サイレンス―』
1月21日公開
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