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「ノーパンしゃぶしゃぶ」は流行語に

 さらに、1998(平成10)年には、汚職事件というより、もはやハレンチ事件の様相を呈した大蔵省接待汚職が発覚した。官僚が接待を受けた「ノーパンしゃぶしゃぶ」は流行語にもなった。この事件では官僚らが6人逮捕され有罪が確定。三塚博大蔵大臣、松下康雄日銀総裁も辞任している。大蔵省では、次官、銀行局長、証券局長、主計局次長などが辞任し、112人が処分された大事件であった。この事件で、官庁の中の官庁として君臨してきた大蔵省の威信は地に堕ちた。

「ノーパンしゃぶしゃぶ」問題で威信を失った旧大蔵省 ©文藝春秋

 2001(平成13)年には外務省で機密費の流用事件が発覚した。要人外国訪問支援室長だった松尾克俊は、首相の外遊などで支出された11億円を超える機密費のうち、なんと10億円近くを詐取(立件されたのは5億円余り)。競走馬を十数頭も持ち、高級マンションに愛人など、並外れた贅沢をしていた。この事件で、機密費の使い方が信用されなくなったことも大きかった。

 2007(平成19)年に逮捕された守屋武昌前防衛次官は、次官は1年か2年という役所の慣例を破って4年にもわたって次官に在任し、「防衛省の天皇」と呼ばれた大物次官だった。防衛装備品の納入をめぐって商社から現金の他、度重なる接待を受けたというのが容疑だった。とくに、頻繁にゴルフ接待を受けていたことが、世のサラリーマンの怒りを買った。

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東京地検の取り調べに向かう守屋武昌(左)と妻の幸子容疑者とみられる女性 ©共同通信社

 これらは平成官僚の汚職事件のほんの一部でしかない。

 役人の子はにぎにぎをよく覚え

 江戸中期、賄賂政治家として知られる田沼意次が活躍した時代の川柳である。にぎにぎとは賄賂を要求するときの手つきからきている。これもまた日本の伝統であることを忘れず、官僚のあり方を監視しつづける必要がある。

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