シンガーソングライターのあいみょんには、子供のころから父親がしょっちゅう歌うので、ずっと「お父さんの歌や」と思い込んでいた曲がある。それはソウル・フラワー・ユニオンの「満月の夕(ゆうべ)」という曲だ。この曲では、阪神・淡路大震災の避難所での光景が歌われている。あいみょんはのちに父の部屋にあるCDを物色するうち、それがソウル・フラワー・ユニオンの曲と知ったが、いまでも毎年、震災の起こった1月17日には聴きたくなるという(※1)。彼女は、その震災発生から約1ヵ月半後の1995年3月6日、兵庫県西宮市に生まれている。きょう、24歳の誕生日を迎えた。
中3のとき、英語教師にもらった初めてのアコギ
あいみょんは昨年、8月にリリースした5thシングル「マリーゴールド」が大ヒットとなって一躍脚光を浴び、ドラマや映画の主題歌も手がけたほか、大晦日のNHK紅白歌合戦にも初出場した。先月18日には、自身初となる東京・日本武道館でのコンサート「AIMYON BUDOKAN -1995-」を開催。武道館のワンマンライブでは過去最大キャパとなる1万4000人の観客を前に、全編ギター弾き語りで18曲を熱唱した。その終盤では、コンサートのタイトルに自分の生まれた年を入れた理由を、《[引用者注:震災直後で]大変だったなか、お母さんが産み落としてくれた年をタイトルにしようと思いました》と説明すると、この日のためにつくってきた新曲、その名も「1995」を披露している(※2)。
音響関係の仕事をしていた父親の影響から、子供のころからさまざまな音楽に親しんできた。初めて手にしたギターも、父が貸してくれたフェルナンデスのZO-3(いわゆる「ぞうさんギター」)だが、本当はアコースティックギターがほしかったこともあり、1ヵ月でやめてしまったという(※1)。その後、中学3年のとき、アメリカから来た英語教師との出会いをきっかけに、念願のアコギを手にする。その先生は、授業の最後にアコギでバックストリート・ボーイズを弾き語りするような人で、あいみょんはすっかり仲良くなる。初めて手にしたアコギは、先生が帰国するタイミングでくれたものだった。こうして自分専用のギターができた彼女は、練習を再開するとともに作詞・作曲も始めた(※3)。