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あいみょん24歳に 英語教師にギターをもらった中3の少女が紅白にでるまで

「マリーゴールド」はリリースの1年前に出来ていた

2019/03/06

genre : エンタメ, 音楽

Youtubeで歌ったら事務所に誘われた

 あいみょんは高校時代、友達がやっていたYouTubeの番組に頼まれて出演、自作の曲を歌った。それをのちに所属する事務所のマネージャーが見て連絡してきた、というのがいまっぽい。18~19歳のころから大阪の梅田駅前で路上ライブも始めた。2015年3月、20歳になる2日前には、タワーレコード限定シングル「貴方解剖純愛歌~死ね~」でインディーズデビュー。YouTubeに上げた同曲のMVは、その過激な歌詞もあいまって話題を呼ぶ。このあと2016年11月にシングル「生きていたんだよな」でメジャーデビューを果たし、翌17年9月に1stフルアルバム『青春のエキサイトメント』をリリースする。じつはメジャーデビューに先立って、ジャニーズWESTの曲に詞を提供し(「Time goes by」)、作詞家デビューもしている。

 10代の終わりにインディーズデビューし、1年あまりでメジャーデビューとは順風満帆にも思える。だが、本人に言わせると、《私からすると短い期間ではありながら、デビュー前は結構しんどいと思う期間もあったので。下積みの長さとかじゃないなって思ってて。そのインディーズの短い期間、どれだけ濃密な時間を過ごしたかっていうのが自分の中にあるんですよ。それがあるから、そんなみんなが思うような順風満帆でもないですって、言いたい気持ちもあるんやけど》(※4)。

昨年の紅白のリハーサルで。「マリーゴールド」を歌った ©文藝春秋

「マリーゴールド」はリリースの1年前に出来ていた

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 メジャーデビュー以降、あいみょんは着実に知名度を上げていく。ブレイクの一つのきっかけとなった「君はロックを聴かない」(2017年)リリース直後には、さらにそれを超えるものをと全力を注ぎ、「マリーゴールド」をつくった。同曲は完成後、報告メールの件名に「いい曲できました」と書いたほどの自信作で、絶対シングルで出すと自分で決めていたとか(※4)。ただし、発表はつくってから1年ほどあとになった。彼女自身は翌春にも出したかったが、夏を歌った曲だったこともあり、ディレクターの判断で先延ばしされたのだ。果たして「マリーゴールド」は満を持して2018年8月にリリースされ、大ヒットとなった。のちにこの経緯を振り返っての《私の、もう早く早くっていう感情をちゃんとコントロールしてくれる人がいて、私が焦りすぎて、もし去年この曲出してたらどうなってたかはまったくわからないです》という彼女の発言(※5)からは、周囲のスタッフへの信頼がうかがえる。

6人きょうだい、大家族の次女。弟が3人いる ©時事通信社