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「歌わんくなっても作詞作曲だけはやってる気がする」

 デビュー当初の作品には荒削りな印象もあったが、しだいに洗練されつつある。スピッツや小沢健二など90年代のJ-POPにも大きな影響を受けているというだけに、あいみょんの曲は、筆者のような中年世代にもなじみやすい。もっとも、こうした決めつけは彼女の歓迎するところではないかもしれない。最近のインタビューでは、《芸能界や業界の人って、ウィキペディアでだいたいの性格とかを決めつけられる。それがすごい嫌で。でも、SNS時代に音楽をやらなあかん世代なので、どう付き合っていけばいいんやろとか、そういうのはすごい考えますね》と語っていた(※5)。

 ここへ来て、自分は作家だという自覚も芽生えつつあるようだ。昨年立て続けに曲を出したことから、一部のファンからは才能が枯れてしまうのではないかと心配されたらしい。それに対しあいみょんは《でも私は作家やから、じゃあ今あなたが読んでる漫画の連載2年後まで次の話は読めませんって言われたら、嫌でしょ?みたいな感覚になって。だから、私は作家やからつくり続けるんですよって思っちゃった》という(※6)。別のインタビューでも将来について問われ、《歌わんくなっても作詞作曲だけはやってる気がする。何かもの作りはしてるっていうのは言い切れますね》と話している(※5)。自分では歌わなくなるかもしれないとの示唆にはちょっとドキッとさせられるが、とはいえまだ24歳。歌手としても作家としてもまだ未知数の彼女が、今後どんな展開を見せていくのか楽しみだ。

日本武道館のチケットは即日完売だった ©文藝春秋

※1 『ROCKIN'ON JAPAN』2018年5月号
※2 「ORICON NEWS」2019年2月18日
※3 『Talking Rock!』2019年3月号
※4 『ROCKIN'ON JAPAN』2018年9月号
※5 『ROCKIN'ON JAPAN』2019年2月号
※6 『テレビブロス』2019年3月号