やはりである。なにかといえば、ちらほら世間に出だした順位予想だ。我らが千葉ロッテマリーンズは様々な野球解説者の間での平均予想で5位。よくても3位が精一杯の状態だ。千葉ロッテマリーンズでSA(サービスエリアではなくスペシャルアドバイザー)という役職に就いていらっしゃる里崎智也氏ですら忖度知らずの5位というから、泣けてくる。ちなみに里崎氏は昨年、堂々の最下位予想。もしかして5位は忖度か? と疑ってしまうほどのドヤ顔だ。そして案の定、皆様の1位予想は福岡ソフトバンクホークスだから、ズッコケるしかない。

マリーンズはホークスにとって不気味なチーム

 しかし、少し待って欲しい。この1位ホークスにこそ光明が隠されている。ホークスが一番対戦をしていて不気味なのがマリーンズだからだ。これはホークスファンなら、「そう、そう」と分かるはず。とにかく不気味なのである。マリーンズが勝てば、ジャイアントキリング状態で大騒ぎ。ホークスは勝っても「そりゃあ、あの戦力と総年俸なんだから、勝つでしょ」と冷たくされる始末。この温度感が極めて不気味なのだ。それに加え、元々、ドーム育ちで野外球場嫌い。ZOZOマリンスタジアムでは雨は降るわ、強風は吹き荒れるわ、暑いわ、寒いわ、トンボが飛び交うわにライトスタンドの応援でプレッシャーをかけられるわと本来はマリン大嫌い軍団なのである。

 ここ数年こそ一方的にボコボコにやられている印象を受けるが2013年は15勝9敗。09年13勝10敗、08年14勝10敗、07年12勝10敗と3年連続でカード勝ち越しも決めている。振り返るとホークスにとっても様々な悪夢はマリーンズ戦だ。中でも有名なのが04年6月1日のマリーンズが13対6で大勝した福岡での試合。レフトスタンドに密集する黒の軍団がお祭り騒ぎの中、一塁側ホークスベンチは凍りついていた。2回で7点を失ったホークス先発の杉内俊哉投手が、ベンチのイスを両手で殴って負傷。福岡市内の病院で精密検査を受け「両手の第5中手(ちゅうしゅ)骨骨折」と診断されたのだ。よほど悔しかったのであろう。

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 08年9月7日の福岡での試合もホークスファンにとっては今も思い出すだけで背筋が凍りそうな悪夢。4点リードの9回表。マウンドにはホークスの絶対的守護神の馬原孝浩投手。1死満塁で代打橋本将捕手の同点満塁本塁打が飛び出した(勝利を確信していたホークスファンが準備をしていた白い風船が力なくピューと飛んでいく光景は容易に想像できる)。それでも最後の最後はなんとか引き分けかと思われた延長12回2死で今度はホークスから移籍をしたフリオ・ズレータ内野手に勝ち越しのソロホームラン。絶対的守護神を投入して4点差を追いつかれ、元ホークスの助っ人に幕張ファイヤー(ズレータがホームランを打った際に行っていたベンチ前でのパフォーマンス)と、ホークスファンのため息がドームに充満したシーンだ。これ以外にも現在はマリーンズの二軍投手コーチとして活躍する、当時ホークスの若き先発投手だった大隣憲司投手が6点リードと完投勝利寸前の9回に3連打から1失点し降板。小久保裕紀内野手に鬼ギレされ、マウンドで「公開説教」を受けた時の対戦相手もマリーンズである。

 もちろん、CSの悲劇は言うまでもない。05年、10年と2度、1位のホークスに05年2位、10年3位のマリーンズが勝ち、下剋上の日本一を達成している。9勝15敗と大きく負け越した昨年だってホークスの連勝を止めたのはマリーンズ。そう、ホークスファン、そしてホークスにとってマリーンズというのは不気味でなにかをしでかしそうな嫌なチームなのである。